音楽教室

【JASRAC VS 音楽教室】最高裁までの著作権料裁判のまとめ

今回は、楽器関係のレビューではなく、時事ネタでいってみようと思います。

JASRACが音楽教室のレッスンにおける演奏から著作権料を徴収しようとしたものの、これに反対する音楽教室運営者などで組織される「音楽教育を守る会」が徴収保留を訴えて文化庁に裁定を訴えていた問題。

音楽がテーマの話ではありますが、少し難しいので、整理しながら考えることにしましょう。

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【JASRAC VS 音楽教室】何が起こってるの?

要は、きわめてざっくり言うと、「音楽教室での楽曲の演奏に著作権料をとるよ」とJASRACが言い出して、これに対して音楽教室側が「ふざけんな!」と対抗している、という事案ですね。

で、その対抗とは、大きく2点あります。

1つが「JASRACに徴収権限がないことを確認する訴訟の提起」。要は裁判に打って出たわけですね。

これは、このあたりの記事が分かりやすいでしょうか。

JASRACによる音楽教室における著作物の使用料徴収に対し、東京地裁に「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を提起しました | 音楽教育を守る会

そして、もう1つが、「著作権等管理事業法に基づく文化庁長官裁定」。こちらは、要はもめたときには、文化庁長官の裁定を仰ぐことができ、その裁定が下るまでの間は、使用料の徴収ができない、という規程です。

条文を見てみよう

条文を引用してみましょう。著作権等管理事業法です。

第二十四条 前条第四項の規定による命令があった場合において、協議が成立しないときは、その当事者は、当該使用料規程について文化庁長官の裁定を申請することができる。
2 文化庁長官は、前項の裁定(以下この条において「裁定」という。)の申請があったときは、その旨を他の当事者に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
3 指定著作権等管理事業者は、使用料規程の実施の日前に裁定の申請をし、又は前項の通知を受けたときは、第十四条の規定により使用料規程を実施してはならないこととされる期間を経過した後においても、当該裁定がある日までは、当該使用料規程を実施してはならない
4 文化庁長官は、裁定をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。
5 文化庁長官は、裁定をしたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
6 使用料規程を変更する必要がある旨の裁定があったときは、当該使用料規程は、その裁定において定められたところに従い、変更されるものとする。

これに基づき、守る会は文化庁長官への裁定を申し出て、そして法に基づき、徴収がストップしていた、というのがこれまでの流れです。

で、先日のニュースでは、この裁定の結果が出て、「著作権料徴収の保留を行わない」とされたわけなのです。

文化庁のプレスリリース

報道もいろいろ出ていますが、本家本元・文化庁のページを見てみましょう。

著作権等管理事業法に基づく裁定について | 文化庁
どんな裁定が出たのか。

主文

平成 29 年6月7日付けで一般社団法人日本音楽著作権協会から文化庁長官に届出の あった使用料規程については,音楽教育を守る会が求める実施の保留は行わず,著作権 等管理事業法第 24 条第3項に基づき,本裁定の日をもって実施の日とする。

…うーん、堅い。

「主文」って、裁判かよ、って感じですね。(まあ、それに近いノリで進められているのでしょうが)

詳細は文化庁のホームページにPDFファイルで全文が載っているので、ご覧ください。(法律関係の文書に慣れてないとしんどい文体ですけどね)

【JASRAC VS 音楽教室】議論はもう終わっちゃったの?

さてさて、ここまでが事実関係です。これらを踏まえて、少し考察してみます。

JASRACが隙あらば著作権料の徴収に動こうとする団体であることは、既によく知られた事実であり、JASRACの組織の不透明さや、ホントに音楽文化を振興しようとしているとは思いがたいエピソードの流布、文部科学省からの天下りが続いていた問題などなど、さまざまなネガティブ要素もあって、このJASRACという団体の評判は、本当に悪いのが現実です。

ということなので、現状のネット世論は「正義の守る会VS悪の枢軸JASRAC」みたいな構図になっています。

こうした先入観の中ですので、先日の裁定については「悪の枢軸JASRACが、正義の守る会をやっつけちまったぜ」的なニュアンスで報道されたり、あるいはネットで論じられたりしていたような気も、しないでもないです。

もともとから想定されていた?

でも、現時点でそこまでは、ちょっと言いすぎかな、という気もしています。

というのも、そもそもこの「文化庁長官の裁定」というのが、JASRAC寄りになることなんていうのは、始まる前から分かっていたことです。

JASRAC…正式名称「一般社団法人日本音楽著作権協会」は、文化庁所管の、国の外郭団体。いわば文部科学省・文化庁とは非常に近い関係にあります。

そして、文化庁の「文化審議会」という審議会は、建前こそ外部の有識者で集まる審議会の体をとってはいますが、事務局は文化庁で担っており、文化庁の意に沿うような議事進行は、できる・できないでいうと、できます。

(ちなみに、文化審議会のメンバーの中にはJASRACの理事も入っています。通常、このパターンのときは審議から外れるのが一般的ですが、今回はどうだったんでしょうか…)

そういったことを勘案すると、この時点において「著作権料の徴収保留」という結論が導き出される、つまり「守る会」側が勝つなんてことは、考えづらかったのです。

裁判は決着していない

では、この話、守る会側が負けてしまったのかというと、現時点ではまだ分からない、というのが現実です。

なぜなら、一番大事な「裁判」の方が、まだ決着していないから。

本件は、著作権法などの法律問題について、利害対立が生じたので司法判断を仰ぐ、ということで裁判になっています。そして、この裁判は、我が国の三権分立がまともに機能している限りにおいて、行政からは独立していることになりますので、もっぱら法的観点からのみの結論を導いてくれることになります。

今は、そちらの裁判の結論が出ていないので、まだ「どっちが勝った」という議論をするには、時期尚早ってわけなのですね。

ちなみに、ここまでの流れを見ると、JASRAC圧倒的有利のように見えますが、さすがに世論がJASRACにないことは文化庁も分かっているのか、あまり強権的な行動を取ることは控えるよう、文化庁からJASRAC宛てに公文書が出ています。

使用料規程の実施に当たっての適切な措置について(通知)

 平成 29 年6月7日付けで貴協会から届出のあった使用料規程(以下「本件使用料規程」と いう。)について,平成 29 年 12 月 21 日付けで音楽教育を守る会から申請のあった文化庁長官の裁定については別添裁定書記載のとおりです。

 もとより,本件使用料規程が対象とする音楽教室における著作物の使用については,音楽 教育を守る会の会員の一部を原告,貴協会を被告とする請求権不存在確認訴訟が東京地方裁判所において現に係属中と承知しています。

 そのような状況の中,貴協会が,当該訴訟の終了を待つことなく,今回の裁定を踏まえて 本件使用料規程に基づく使用料の徴収行為を開始することとした場合には,その態様如何に よっては,社会的混乱が生じるおそれが考えられます。

 このため,貴協会におかれては,本件使用料規程の実施に当たって,音楽教室における演 奏について演奏権が及ぶことを争う音楽教室事業者に対しては,演奏権が及ぶかどうかの争いがある使用態様につき,司法判断等によって請求権が認められるまでは個別の督促(利用 許諾契約手続の督促・使用料の請求)を行わないこと,また,音楽教室における演奏につい て演奏権が及ぶことを争わない音楽教室事業者に対しても,その使用料の請求を行うに当たっては,本件使用料規程において規定する料率を上限とし,利用者の利用の実態等を踏まえ,適宜協議を行うなどにより適切な使用料の額とすること等,社会的混乱を回避すべく適切な 措置を採るよう留意してください。

意訳すると、「裁定はこういうことになってるけど、裁判で係争中の案件でもあるので、あまり乱暴なことはするなよ」ってことですね。

一応、文化庁がJASRACに対して、一定の配慮を求めている構図になっています。

(まあ、あくまで一定でしかなくて、JASRACは意気揚々と「4月から徴収しまーす」とか言っちゃってますけどね)

まとめ…僕らの戦いはこれからだ(?)

これらをまとめると、

  • 守る会とJASRACは裁判で係争中だが、同時に文化庁長官へも保留の申立をした
  • でも、その申立の方は文化審議会で却下された
  • 一方で、裁判はまだ終わっていないので、僕らの戦いはこれからだ

といったようなところでしょうか。

音楽に関する、とても気になる訴訟事案。難しくて眠くなりそうですが、こういうのも大事な話なので、今後の動向に注意していきたいですね。

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