ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

【レビュー】最高の無観客ライブ!東京事変「2020閏vision特番ニュースフラッシュ」

本日は、初めての試みなのですが、ライブDVD・ブルーレイについてレビューしてみようと思います。

 

記念すべき第一回目は、東京事変の「2020閏vision特番ニュースフラッシュ」です。では早速、行ってみましょう!

 

東京事変、伝説の無観客配信ライブ

今回紹介する「2020.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」は、コロナ禍で無観客開催となってしまった、2020年7月24日に東京・渋谷のNHKホールで行われた同公演を収録したものです。

 

その様子は、2020年9月5日に映画館で上映されたほか、ネット配信でも多くのファンのもとにこの映像が届けられたのですが、無観客であるがゆえの独特の緊張感の中、淡々と楽曲が進行していく様子は、美しくそしてストイックで、大変注目を浴びたものでした。

 

セットリストはこんな感じ

そんな「2020.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」の収録曲は、このようになっています。

  1. 新しい文明開化
  2. 群青日和
  3. 某都民
  4. 選ばれざる国民
  5. 復讐
  6. 永遠の不在証明
  7. 絶体絶命
  8. 修羅場
  9. 能動的三分間
  10. 電波通信
  11. スーパースター
  12. 乗り気
  13. 閃光少女
  14. キラーチューン
  15. 今夜はから騒ぎ
  16. OSCA
  17. FOUL
  18. 勝ち戦
  19. 透明人間
  20. 空が鳴っている

そして、特典映像として、一部の曲において定点カメラで全体像を見渡すことのできる別バージョンが収録されています。当該収録曲は次のとおり。

  1. 新しい文明開化
  2. 某都民
  3. 選ばれざる国民
  4. 復讐
  5. 絶体絶命
  6. 能動的三分間
  7. 電波通信
  8. 今夜はから騒ぎ
  9. OSCA
  10. 勝ち戦
  11. 空が鳴っている

まるでベスト盤のような珠玉の名曲ぞろいのセットリストは、ファンの方であれば、これを見るだけでアドレナリンが出てくることでしょう。

 

一流ミュージシャンのプレイを堪能できる

さて、東京事変といえば、ヴォーカルの椎名林檎さんはもとより、ベースの亀田誠治さん、ギターの浮雲さん(長岡亮介さん)、キーボードの伊澤一葉さん、ドラムの刄田綴色さん(畑利樹さん)という、実力と個性を兼ね備えたミュージシャンの皆さんの演奏、そしてそれらがバンドサウンドとなってまとまったときの一体感が最大の魅力。

 

そんな東京事変の魅力が、このライブビデオには、余すところなく注ぎ込まれています。

 

1曲目、「新しい文明開化」では、椎名林檎さん、浮雲さん、伊澤一葉さんの3人がギターを手にし、英語詞の語感も相まって、ものすごい疾走感が生み出されます。

 

その後、3曲目「某都民」では一転、落ち着いたグルーヴの中、ハイトーンボイスの浮雲さんと、ロートーンボイスの伊澤一葉さんが、それぞれの持ち味を活かした形でのヴォーカルとしても登場し、曲中では亀田誠治さんのベースソロも独特の雰囲気を醸し出します。

 

その後、6曲目「永遠の不在証明」は、劇場版名探偵コナン「緋色の弾丸」の主題歌にもなるなど、一般にも比較的知れ渡る楽曲ですが、ライブでは今回が初登場。意表を突く楽曲展開が印象的な1曲です。

 

後半、「キラーチューン」「今夜はから騒ぎ」「OSCA」と3曲が続くところは、個人的にも大好きなところ。ミディアムテンポのキラーチューン、今夜はから騒ぎ、OSCAの前半…ときて、そこからOSCA名物のハイテンポに一気になだれ込む展開は、まさに緩和からの緊張といった感じ。

 

また、この3曲、浮雲さんのギターサウンドが非常に良い味を出しています。特に「今夜はから騒ぎ」のアウトロは、「同じギターソロを2回弾かない」と言われる浮雲さんらしい、即興で奏でるグルーヴィーなギターソロを飄々と奏でる姿に見入ってしまいます。

 

そうそう、「今夜はから騒ぎ」では、間奏における伊澤一葉さんのピアノソロも見逃せません。どこか物憂げな曲調の上で、伊澤一葉さんのピアノが踊っているともいえるそのプレイは、何度聞いても飽きさせません。

 

終盤は、亀田誠治さんの安定したベースラインが堪能できる「透明人間」から、ハードな中に荘厳さを感じさせる「空が鳴っている」へ続き、このライブは幕を閉じます。

 

浮雲・伊澤一葉のセンス、刄田綴色の安定感がライブを支配している

東京事変というと、どうしても一般的な知名度の高いヴォーカルの椎名林檎さん、そしてベースの亀田誠治さんに目が行きがちになります。

 

確かに、このライブ全体の空気感を作り出しているのは、もちろんこの2人でもあるのですが、それ以上にライブの雰囲気に大きな影響を与えているのが、ギターの浮雲さんと伊澤一葉さん

 

ブルーグラスやカントリーにルーツを持つ浮雲さんのギタープレイは、一般的なロックバンドではあまり使われないような音作りや運指を通じて、独特の浮遊感やグルーヴ感を醸し出し、それが東京事変の他のバンドにはない大きな魅力を作り出しています。

 

そして、伊澤一葉さんの安定感あるキーボード・ピアノの演奏は、バンドサウンドに厚みやバリエーションを持たせるとともに、特にピアノソロにおける、ある種ジャジーなサウンドもまた、東京事変らしさを感じさせてくれるところ。

 

そして、これだけの個性派ミュージシャンが、その個性を発揮できるように、安定感あるプレイでバンドのビートを支えているドラマー・刄田綴色さんの存在も見逃せません。

 

無観客配信ライブだからこその「緊張感」が奏功している

そして、冒頭にも少し申し上げましたが、今回収録されたこの映像は、無観客配信ライブのものです。

 

ですので、会場に観客の姿が見えないのはもちろん、観客の歓声も熱気もありません。MCなども一切無く、まるでCDのように、淡々と曲が進行していきます。

 

一般的なライブのことを思うと、非常に寂しく、そして厳しいシチュエーションなのですが、一方で、この状況は、ライブ全体にかなりの緊張感をもたらし、それがサウンド全体を引き締めているようにも感じます。

 

この緊張感の中で、これだけのサウンドを淡々と、しかし熱く展開できるのも、東京事変という、腕に覚えのあるミュージシャン集団だから…ということもできるのではないでしょうか。

 

【まとめ】超ハイクオリティな無観客ライブ映像!

今回ご紹介した、東京事変のライブDVD・ブルーレイ「2020閏vision特番ニュースフラッシュ」。

 

椎名林檎さんはじめ、一流どころのミュージシャンが、無観客という一見逆境に思える状況を、ある意味で逆手に取り無観客特有の緊張感の中で圧倒的な演奏を見せつけた、言うなれば「最高の無観客ライブ」ということができるでしょう。

 

普通のライブでは感じることのできないこの雰囲気、そしてその中で繰り広げられる各ミュージシャンの圧倒的な演奏…見応えたっぷりの映像です。

 

おそらく、多くの東京事変ファンの方は既にご覧になっているかと思いますが、個人的にはこのライブ、必ずしも東京事変のファンというわけではないけれども、彼・彼女たちのサウンドに関心のある楽器プレイヤーの皆さんに見てほしいところ。

 

この演奏力、この雰囲気。きっと、とりこになりますよ。