楽器

厳しいコミュニティFMの現状…音楽好きとしては寂しいけど

音楽に取り組むものにとって、ラジオというメディアにはそれなりの親しみがあろうかと思います。

そんなラジオに出演したいと思ったときに、もっとも身近な存在だと言えるのが、各地域のコミュニティFM。

しかし、そんなコミュニティFMは、今、岐路に立たされています。何が起こっているのか…少し考えてみました。

この記事はこんな人にオススメ
  1. コミュニティFMとは何なのかを知りたい
  2. なぜコミュニティFMが存亡の危機にあるのか考えたい
  3. 地方自治体とコミュニティFMの関係を知りたい
  4. コミュニティFMを廃止した事例について教えてほしい
  5. FMひらかたの廃局について考えたい

コミュニティFMとは

まず、コミュニティFMとはそもそも何なのか…という話なのですが、これについては、電波行政を所管する総務省に、分かりやすい資料がありましたので、これを抜粋します。

「コミュニティ放送」は、超短波(FM)放送による地域の話題や行政、観光、交通等の地域に密着したきめ細かな情報等を提供し、地域の活性化等に寄与することを目的とした地域密着型メディアとして平成4年1月に制度化。

※ 昭和60年代に入り、国民の価値観・生活様式の多様化・個性化等の社会環境の変化を受け、多種多様化する情報ニーズに応えるための、県域よりも小地域(市町村単位程度)を放送対象地域とする放送の必要性が高まったことを受け、制度化されたもの。

【引用元】https://www.soumu.go.jp/main_content/000401159.pdf

ということで、つまりは一般的に知られるFM放送局よりも、よりローカル色が強まる形で運営されるラジオ局だということになります。

このローカル色が強い放送局の存在意義が発揮されるのは、災害時などの非常事態。地域密着の災害情報・避難所情報などが放送される強みが注目され、阪神大震災の後、各地で急激にコミュニティFM放送局が増加しました。

災害時の対応が期待されているとはいえ、普段は普通のFM放送局。各地域のローカル情報をふんだんに盛り込んだ番組が制作されたり、各地域ならではのパーソナリティーが活躍していたりと、各地域がそれぞれの個性と強みを生かして、放送局を運営しています。

コミュニティFMの置かれた現状

さて、このようなコミュニティFMなのですが、現状は非常に厳しく、先行きも決して明るいものではありません。それはなぜなのでしょうか…。

聴取率が非常に低い

まず、このコミュニティFMですが、総じて聴取率が非常に悪いです。

ラジオの徴取率というのはなかなか具体的な数値を把握することが難しいのですが、テレビに加え、最近はスマホやパソコンで見るインターネット中継等もライバルになるなか、なかなかラジオを聞く習慣というのが今のライフスタイルの中になじみにくい様子。

確かに、なかなか家でラジオを聞く習慣って、あまりないですもんね。

かとうたかこ
かとうたかこ
最近の小さな子どもは、そもそも「ラジオって何?」という感じなんだとか。時代の流れを感じますね…。

エリアが限定的で、車で聴くのに向かない

加えて、コミュニティFMの場合、放送エリアが限定的なことに起因する別の事情もあります。

これだけテレビやインターネットが普及し、情報取得や音楽視聴の機会をこれらに奪われる中、今なおラジオがその存在感を発揮できる場所は、車の中。職業ドライバーはもとより、プライベートで車を運転される方の中にも、「ドライブ中はカーラジオ」という方は、一定程度いらっしゃるのではないかと思います。

しかしながら、コミュニティFMの場合、おおむね市町村単位で視聴エリアが設定されている関係上、車で広域的に移動している場合の視聴には向きません。たとえば、市単位で設立されているコミュニティFM放送局の番組については、市境界を越えてしまうと、もう聞けなくなってしまうわけですからね。

もちろん、市内限定の運転であれば問題なく聞けるわけですが、「どこへでも行ける」車という移動手段の中で、「ここでしか聞けない」というコミュニティFMを聞こうとは、正直あまり思わないように感じます。

スマホの普及で薄れる存在意義

そして、先ほども少し触れましたが、情報取得ツールとしては、最近はスマホが圧倒的な強さを誇ります。一般的なホームページはもちろんのこと、SNSやYouTube、ツイキャスなどなど、動画・音声での情報入手手段も、スマホのおかげでかなり広がっているのが現状。

どこでも音声による情報を入手できるというツールは、いまやラジオからスマホに変わっているといってよいでしょう。

自治体の予算頼みの経営

そして、これがコミュニティFMの根本的な問題ではないかと思うのですが、多くの自治体のコミュニティFMは、独立採算のもとで経営することが難しく、当該放送局が立地している自治体の予算に依存せざるを得ないという実態があります。

多くの自治体で見られるのが、行政広報番組の制作・放送を委託し、その対価としてまとまった額の委託料を支出している、というパターンです。

自治体が個別企業への補助金を支出することが難しい中、おそらく実際には行政広報番組の制作に要した経費以上の委託料を支払って、それをもって災害時に備えてコミュニティFM放送局を維持するための財源にしてもらう…といったような政策なのでしょう。

コミュニティFM廃止に向けた動きを起こす自治体も

こうした状況の中、「果たして高額な予算を確保してまで、あまり聞かれていないコミュニティFMを維持しなければならないのか」という課題意識をもった自治体もあります。

大阪府枚方市では、コミュニティFM放送局である「FMひらかた」について、次のような経緯で廃止・閉局となりました。

  • 阪神淡路大震災を契機に、災害時の情報伝達手段として1997年にFMひらかたを開局
  • その当時はラジオが災害時における唯一の情報伝達手段であった
  • しかし、その後インターネットの普及などで情報伝達を取り巻く社会環境が変化した
  • 平時の聴取状況や、市情報番組の効果などを検証し、市からの放送委託(5,000万円)を廃止
  • 市からの委託事業なしでは放送局を維持できず、令和4年3月で閉局

株式会社エフエムひらかたの解散に伴う経過について | 枚方市ホームページ

あくまでコミュニティFM放送局は民間事業者になりますが、自治体からの予算なしでは運営が成り立たず、結果として枚方市の判断が引き金となって、閉局に至った、ということです。

5,000万円という多額の税金を、毎年このFMラジオ局に投入し続けているという現実を目の前にすると、「仕方ないのかな…」という思いは、どうしても

ラジオ文化が縮小することを惜しむ声も

さて、前述のFMひらかたは、閉局に際してのメッセージをホームページに掲載しています。

FMひらかたは、最後の1秒まで防災啓発に努め、もしもに備えながら、
一方で、あなたの人生がより豊かになる情報や、笑顔になれる楽しい企画を発信し続けます。
ラジオはただ情報発信をするのではなく、人の心に寄り添える優しいメディアです。
安心して本音を語り合える場所、喜怒哀楽の感情を共有できる場所、
孤独ではなく人の心を繋ぐ場所。
災害時には、そんな心の拠り所にもなりたいと思い25年間頑張ってきました。
これからもあなたの声を聴かせてください。

閉局のご報告 | FMひらかた

行政ではなかなか書けないような情緒的な文章です。行政の判断で閉局に追いやられた無念さが、行間からにじみ出ているような気がします。URLも「http://www.kiku-fm779.com/goodbye779/」となっており、ここからも、単なる「お知らせ」にとどまらないメッセージ性が感じられますね。

確かに、FMラジオ…それもコミュニティ放送というものを聞く人は、現実的にはほとんどいないような気がします。

しかし一方で、わが国におけるロック・ポップス文化を黎明期から支え、多くの人に「音楽のある生活」を作り出す上で、ラジオが果たした役割というのは、間違いなく大きかったと思います。

コミュニティFMが果たした役割「身近な出演機会の提供」

そして、そのラジオ文化の中でもっとも住民に身近なコミュニティFMは、その身近さゆえに、多くの住民に出演機会というものを提供してきた一面もあります。

たとえば、地域密着の音楽イベントなどは、コミュニティFM放送局と提携し、ミュージシャンにラジオ番組の出演機会を提供するような仕掛けなども行っていました。どのような形・規模であれ、「ラジオの収録スタジオに入って、出演する」という経験は間違いなく貴重なもの。

コミュニティFM放送局には、そうした「気軽に出演できるマスメディア」という一面もあり、廃止に際しては、リスナーの視点のみならず、こういった出演者の視点から惜しむ声もあります。

【まとめ】時代の流れ的に仕方ない…とはいえ

このように、今回は、音楽にかかわるものにとって身近な存在である(あるいは「あった」)ラジオというもののうち、もっとも地域密着で運営されてきたコミュニティFMの現状について、少し考えてみました。

独立採算での経営が難しく、行政からの予算を確保しないと運営が立ち行かない現状。

医療・保健や福祉、教育・子育てといった、税金を投入して解決しなければならない課題が多々あり、コミュニティFM存在の大義名分であった「災害時の情報伝達手段」についてもインターネットの普及で状況が変化する現状。

こうした中、行政が「税金の使い道」という視点で検証した結果、事実上の経営支援を打ち切って、その財源を他の行政課題に回す

これは、一人の社会人・一人の納税者としては、時代の流れ的に仕方ないのかな…と受け止めています。

とはいえ、ラジオというメディアが音楽の発展において果たしてきた役割は大きく、地域密着のコミュニティFMは、出演機会の提供も含め、地域で活動するプレイヤー・イベンターの方々にとってはとても大事な存在であったと考えます。

こうした中、関西のコミュニティFM放送局であるFMひらかたは、2022年2月末、惜しまれつつ閉局しました。

5,000万円の税金と今の聴取状況という現実を目の当たりにすると、時代の流れ的に仕方ない…ということは、一人の納税者として、理解しています。

でも、それを分かった上で、今は少しだけ、コミュニティFMから流れるトークと音楽に、ある種のノスタルジーを感じながら、耳を傾けていたいと思います。

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