気がつけば、今年2021年も、そろそろ暮れようとしています。
今年2021年、音楽業界にはさまざまなニュースがありましたが、個人的に非常に大きなニュースだと感じたのが、作曲家・すぎやまこういちさんの死去。
きょうは、すぎやまこういちさんをしのびつつ、彼の代表的な作品である、ドラゴンクエストのさまざまな音楽について振り返ってみようと思います。
- ドラゴンクエストの音楽について知りたい
- すぎやまこういち氏の功績について学びたい
- ドラクエ音楽の代表曲について聞きながら考えたい
- 歴代ドラクエの名曲を振り返りたい
- 変拍子が印象的なドラクエの楽曲を教えてほしい
もくじ
すぎやまこういちさん、死去
作曲家のすぎやまこういちさんが亡くなられたニュースが報じられたのは、この記事の更新日からちょうど2カ月前となる、2021年10月7日。90歳でした。
すぎやまこういちさんは、東京大学を卒業後、文化放送⇒フジテレビへと就職し、その中でディレクターとして活躍しつつも作曲活動を続けた後、1965年に退社。以降はフリーの作曲家として活躍をされました。
すぎやまこういちさん死去のニュースは、もちろん一般ニュース等でも報じられましたが…
すぎやまこういちさん死去 「ドラクエ」作曲家、90歳:時事ドットコム
彼が楽曲を提供したドラゴンクエストの公式サイトでも、そのことが大きく報じられ、全国のゲームファンの子どもたち、そしてドラクエとともに大きくなった大人たちを悲しみに暮れさせたものでした。
訃報 すぎやまこういち氏 ご逝去 | ドラクエ・パラダイス(ドラパラ)ドラゴンクエスト公式サイト | SQUARE ENIX
すぎやまこういちさんの代表作品
さて、そんなすぎやまこういち氏の代表作品ですが、私がぱっと思いつくだけでも、次のものが挙げられます。
ドラゴンクエストシリーズの楽曲
国民的ゲーム・ドラゴンクエストのBGMについて、1986年にリリースされた初代ドラゴンクエストから、現在制作中のドラゴンクエスト12に至るまで、すべての楽曲をお一人で作曲されていました。
ゲームの世界に彩りを添えた素晴らしき楽曲の数々は、後ほど、しっかり振り返ろうと思います。
「亜麻色の髪の乙女」など、往年のヒット曲
ドラクエのイメージが強い世代の方には、これが逆に意外に思われるそうなのですが、すぎやまこういちさんは、かつてはヒット曲の作曲なども手がけておられました。
若い世代にも比較的知られている楽曲かな、と思うのは、島谷ひとみさんがカバーしたことでも知られる「亜麻色の髪の乙女」。もともとはヴィレッジ・シンガーズという4人組フォークバンドのヒット曲だったのですが…
これを彼女が2002年にカバーし、こちらも人気を博しました。
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また、ザ・タイガースの「花の首飾り」や、ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」といった楽曲も手がけております。これらの楽曲も、世代にかかわらず、おそらくどこかで一度は聞いたことがあるんじゃないかな…というふうに思っていたりもします。
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中央競馬、東京・中山競馬場のファンファーレ等
JRAが運営する東京競馬場と中山競馬場で、レース前に流れるファンファーレ。これも、すぎやまこういちさんの作曲であることは有名な話。
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また、ファンファーレのみならず、GIの本馬場入場の時に流れていた楽曲「グレード・エクウス・マーチ」も、すぎやまこういちさんの作曲です。
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なお、すぎやまこういちさんの訃報が明らかになった後の東京競馬場では、彼への弔意と、生前の功績に敬意を表して、GIIレースでありながら彼の競馬界における代表曲であるGIのファンファーレと、この本馬場入場曲「グレート・エクウス・マーチ」が使われるという粋な演出がありました。
【毎日王冠】すぎやまこういち氏制作の本馬場入場曲・GIファンファーレ使用 JRAが功績称える | 競馬ニュース – netkeiba.com
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ドラゴンクエストにおける代表作品
さて、そんな中、非常に幅広い世代に親しまれている、すぎやまこういちさんの代表楽曲が、ドラゴンクエストに使われている各種楽曲です。
ここでは、その楽曲について、ドラゴンクエストの作品とあわせて、振り返っていって見ようと思います。
序曲
まずは、「序曲」。この楽曲は、ドラクエを知らない人でも聞いたことがあるのでは…と思えるほどに有名な楽曲。ドラゴンクエストの世界に入り込む上で、まず最初に聴いておくべき楽曲だと言っても良いでしょう。
荘厳なファンファーレからメインメロディーにつながる楽曲展開は、まさに今後の胸躍る冒険を予感させるにふさわしいものです。
なお、ドラクエ1から3までの、通称「ロトシリーズ」と、4から6までの通称「天空シリーズ」では、イントロのファンファーレが異なるなど、この序曲ひとつをとってみても、なかなか奥が深かったりします。
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また、この「序曲」は、東京オリンピックの開会式で用いられたことでも有名ですね。クラシック的な要素をもちつつも、子どもから大人まで抜群の知名度を誇る楽曲ということもあり、大規模なコンサートから、地域密着の小規模ライブまで、実にさまざまなところで、この楽曲が演奏され、多くの人に親しまれています。
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LOVE SONG探して(ドラクエ2)
ドラゴンクエスト2で、復活の呪文を入力するときに流れる曲ですね。(ちなみに、「復活の呪文」とは、古いゲームで、前の続きから再会するために入力しないといけないパスワードのこと。昔はデータセーブなどという便利なものはなかったのです…)
比較的クラシック系の楽曲が多いドラゴンクエストの楽曲において、かなりポップス色の強いこの楽曲ですが、実際にファミコン版のドラクエ2をプレイしたことがある人にとっては、復活の呪文を間違えてしまったときに聞かされる、ある意味「トラウマ曲」だとも言われています。
後にドラクエ2がスーパーファミコンでリメイクされて、データセーブ機能が実装されたこと復活の呪文の心配をしなくて良くなったときに聞き、その楽曲の素晴らしさに改めて気づいた人も多かったんだとか。
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遙かなる旅路(ドラクエ2)
ドラクエ2において、仲間が揃うまでの間に、フィールドで流れる楽曲です。力強さの中に、どこか哀愁漂う雰囲気が、ドラクエ2の不安な序盤にまさにピッタリ。
この楽曲は、ローレシアの王子がムーンブルクの王女に出会うまで、しばらくお付き合いが続くわけですが、道中、ムーンペタの街で強敵・マンドリルにボコボコにされてなかなか先に進めず、ずっとこの曲を聴き続けた…という人も多いのではないでしょうか。
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ドラクエ2は、とにかく高難易度で有名ですが、楽曲1つ1つに、そんな高難易度エピソードがついてくるんですよね。
戦闘のテーマ(ドラクエ3)
ドラクエでもっともワクワクするときといえば、モンスターとのバトルの時間。そのワクワクを高めてくれる、戦闘時の音楽は、どの作品においても、非常にスリリングで、聞いているだけで勇ましい気分になれます。
そんな戦闘の音楽で最も知名度が高いのが、おそらくこのドラクエ3。作品自体が社会現象になるほどの大ヒットとなった上、今なお名作との呼び声高く、幾度ものリメイクやスピンオフ作品等でも使われ、多くの人の耳に親しまれた楽曲になっています。
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こうした楽曲の知名度の高さもあって、高校野球の応援歌でも定番になっており、「ブラバン!甲子園」シリーズの2作目にも収録されていたりします。
戦闘〜生か死か〜(ドラクエ4)
戦闘曲シリーズでいうと、一般的な知名度を誇るのはドラクエ3ですが、楽曲としてのファンが多いのは、このドラクエ4もなかなかのものです。
全作品中屈指の疾走感と、めまぐるしく変化する楽曲の雰囲気が、戦闘のスリリングな展開を音楽面から演出してくれるこの楽曲。
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そして、音楽的には変拍子が使われているのも注目すべきところ。基本的には4分の4拍子の曲なのですが、終盤では各小節ごとに拍子が変わっていると思わされるほどの複雑な変拍子を繰り返していきます。
聞いているとスッと聞けるのですが、楽譜を見てびっくりする…すぎやまこういち氏の楽曲は変拍子が使われている楽曲も結構多いのですが、この曲はそんな変拍子シリーズの代表曲だと言えるでしょう。
勇者の故郷(ドラクエ4)
ドラクエ4の中で特に人気が高い楽曲といえば、先述の戦闘テーマのほかにも、この「勇者の故郷」が挙げられます。
ドラクエ4は、1〜5章(リメイク版では6章あり)の章立てになっており、勇者は5章になるまでお預けになるのですが、ようやく5章にたどり着いて勇者のストーリーを楽しめると思ったら、冒頭からまさかの鬱展開。
そして、そんな悲劇的な展開の中でも、悲しみをこらえて冒険に旅立たなくてはいけない勇者の孤独、悲壮感…そういったものがすべて、この楽曲に表現されているのです。
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街角のメロディ(ドラクエ5)
仲間モンスターシステムと結婚がとても印象的なドラクエ5。
そんなドラクエ5、音楽的にはどれも名曲揃いなのですが…すぎやまこういちさんらしいアレンジが光るのが、個人的には「街角のメロディ」という楽曲だと思っています。
タイトルだけを聞くと、街の中で流れる楽曲なのかな、と思うのですが、実はこれ、序盤、妖精の国に行ったときに流れている楽曲です。どことなく穏やかでかわいらしく、優しい雰囲気がただよっています。
作品によって少しずつアレンジが違うのも、この楽曲の面白いところ。個人的には、前半の木管楽器の優しい音色と、後半のストリングスの荘厳な雰囲気の対比が光る、PS2版の豪華な展開が大好きです。
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迷いの塔(ドラクエ6)
夢と現実を行き来する展開、そして現実世界の2回目ムドーの圧倒的存在感、さらには海底宝物庫のキラーマジンガ先生が印象的なドラクエ6。
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そんな中、このドラクエ6で取り上げる楽曲は、「迷いの塔」。これまでのドラクエシリーズの塔BGMというと、どちらかというと不気味さを演出することに重きが置かれていたような感じですが、この「迷いの塔」、少なくともSFC版においては、まるでロック系の楽曲のようにも思えるような仕上がりになっています。
…でも、この楽曲の見どころはそこだけではなく、この曲もドラクエ4の戦闘BGMと同様、変拍子が炸裂しているところも忘れてはいけません。
この曲は本当に序盤から拍子がとんでもない勢いで変化しており、もはや拍子の概念を超越しているのではないかと思うほど。
ドラクエ4の戦闘テーマとあわせて、すぎやま先生の変拍子の妙を、お楽しみ下さい。
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血路を開け(ドラクエ7)
全体的に鬱屈したストーリー展開と、PS版では石版集めに苦しめられた印象が強いドラクエ7。
こちらも、さまざまなストーリーが楽曲とともに蘇るのですが、印象深いのはやはり戦闘曲である「血路を開け」。特にPS版については、これまでの戦闘曲と比べると、少しテンポは落ち着いたようにも思いますが、楽曲が比較的ドラマティックに展開していくので、楽曲のスリリングさは失われていません。
そしてそれが、3DS版になると、テンポが上げられて、より一層この楽曲の目指すところが見えやすくなったようにも思います。
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ちなみに、ドラクエ7でこの楽曲が使われる名シーンといえば、やはりフォロッド城がからくり兵に襲われたとき。
からくり兵に関する一連のストーリーは、途中から思いも寄らぬ展開になり、それがプレイヤーの心を打ったものでした。からくり兵・エリーのけなげで残酷なエピソードは、涙なしには語れません…。
勇者は征く(ドラクエ11)
2021年12月時点におけるナンバリング最新作、ドラクエ11。
久しぶりのドラクエシリーズということで、随所に過去の名作のエッセンスを取り入れた作りになっており、楽曲でも過去作のものがそのまま使われていたりするのですが、この「勇者は征く」は、そういった中にあって貴重なドラクエ11オリジナル曲。
歴代の作品を見てみると、比較的穏やかなフィールド移動曲が多い中にあって、この「勇者は征く」は、まるで競馬の本馬場入場やファンファーレを思わせるような、かなり勇ましい雰囲気になっています。
ただ、この曲、せっかくの名曲なのに、終盤ではドラクエ3の「冒険の旅」に差し替わってしまって、ゲーム内ではあまり聴けなくなってしまうのが残念なんですよね。
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【まとめ】すぎやまこういちさんの楽曲よ、永遠に…
このように、すぎやまこういちさんの楽曲は、さまざまなところで多くの人々に強い影響を与えてきましたが、とりわけ国民的ゲームであるドラゴンクエストシリーズにおいては、そのストーリー、キャラクターに並んで…あるいはそれ以上に強力な存在感を放ってきました。
すぎやまこういちさんは、残念ながら天国へ旅立たれてしまいましたが、彼の残した楽曲は、今もなお、多くの人の耳に残り、多くの人たちに演奏され続けています。
すぎやまこういちさんの名曲の数々を、どうか私たちみんなで、永遠に語り継いでいきましょう。
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