ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

アマチュア〜インディーズのライブにおける写真撮影NGの件。根底にはSSWおじさん問題?

アマチュア〜インディーズのライブにおいて、よく議論になっているのが「写真撮影の是非」。

 

今回、これについて考えてみようと思います。

 

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ライブにおける写真撮影とは

まず、この議論の大前提として押さえておかなければならないことが、「プロのライブでは、写真撮影NGが一般的」であるということ。

 

この理由はごくシンプルで、「肖像権等の権利関係を事務所で一元管理しているため」ということにつきます。

 

もう少し具体的に考えてみましょう。

 

写真撮影を許可するメリットとしては、来場者が写真を撮影できることによる満足度の向上が見込まれますが、一方でデメリットとして、事務所で管理している写真等の価値が下がることが挙げられます。

 

そして、これら両者を比較すると、どう考えてもメリットよりデメリットの方が大きいため、プロにおけるライブでは写真撮影が禁止される…というふうに考えるのが妥当でしょう。

 

アマチュア〜インディーズライブにおける写真撮影の是非

それでは、アマチュア〜インディーズのライブにおける写真撮影のメリット・デメリットはどうなのでしょうか。

 

厳しい言い方になりますが、アマチュア〜インディーズの方の場合、当然、商品力という点において、プロミュージシャンには遠く及びません。

 

それを踏まえて、論点を整理し、少し考察してみましょう。

 

【論点1】観客が写真を有するメリットはプロより大きい

前述のように、プロミュージシャンの場合、観客に写真を撮られてしまうと、ファングッズ等、商品への売り上げに影響が生じるため、写真撮影が禁止されてしまうのが一般的です。

 

では、この点、アマチュア〜インディーズはどうでしょうか。

 

アマチュア〜インディーズであれば、観客が独自に写真を撮ったからといって、グッズの売上等に影響が出るとは考えにくいところです。グッズを買う人はおそらく本当にコアなファンか、あるいは半ば寄付的に購入する人に限定されるでしょうから、写真撮影を禁止したからといって、グッズの売り上げに関係するとは考えにくいところです。

 

むしろ、アマチュア〜インディーズの局面においては、ファンの方が写真を自由に撮影し、それをSNS等で拡散してもらうことによって、自身の知名度を高める方向に持って行く方が、プロモーション戦略としては、本来、はるかに正しいのです。

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【論点2】「写真よりも音楽に集中して欲しい」は演者側のエゴ?

にもかかわらず、写真撮影を禁止しているアマチュア〜インディーズのミュージシャンの皆さん、結構たくさんいらっしゃるように感じます。

 

そうした人たちが、Twitterのプロフィールや固定ツイート等で書いているのが、「写真よりも音楽に集中してほしい」というような主張です。

 

なるほど、演者側の立場からすると、確かにせっかく一生懸命曲を作り、一生懸命練習して、そして一生懸命演奏しているわけですから、それを観衆側にもしっかり聴いてほしい…そう思うのは、ミュージシャンの理念として、大変よく分かる話でもあります。

 

ただ、一方で、「対価を払ってライブに来ている以上、その楽しみ方は観衆側に委ねられるべき」との考え方もあります。

 

写真撮影に限った話ではないのですが、たとえば「一緒に歌ってほしい」「手を振ってほしい」といったミュージシャン側から観衆側に投げかけられるお願いの類にしても、観衆側は観衆側の感性に基づいてライブを楽しみたいわけであって、こうした依頼があたかも「義務」であるかのように解釈される風潮は、少なくとも契約論的には違和感があります。

 

ですので、「写真よりも音楽に集中してほしい」という言葉【だけ】では、「演者側のエゴではないか」という批判を受けてしまうのがオチです。

 

となると、写真撮影を禁止するためのロジックとしては、観衆のライブの楽しみ方に制約を課すような考え方ではなく、別のロジックがあった方が理論的には良いのではないかと考えられます。

 

【論点3】バンドではあまり見ない「撮影NG」

ところで、この「写真撮影NG」問題なのですが、実はバンド形態をとるようなミュージシャンの場合、あまり問題になっているのを見たことがありません。

 

バンドの場合、

 

「写真撮影禁止?とんでもない!どんどん撮って、拡散してください!それがバンドの知名度アップになりますんで!」

 

というようなスタンスの方が圧倒的に大多数です。少なくとも私は、アマチュア〜インディーズバンドにおいて、「写真撮影NG」とバンド側から言われたことは、一度もありません。

 

この背景には、バンドは本当に知名度向上に飢えており、自分たちの活動を多くの人に知ってもらえるのなら、この際手段は何だって良い(もちろん合法的な範囲で)と思っているところがあることが考えられます。

 

ですので、前述のような、「観衆に楽しみ方の制約を加える」なんてのはもってのほか、という考え方に立っていると言えるでしょう。

 

余談ですが、私はある程度活動実績のあるインディーズバンドのマネージャーの方から、「撮った写真は1枚残らず、あらゆるSNSでバンド名とともに、徹底的に拡散してほしい」という依頼を受けたこともあります。これは極端な例なのでしょうが、いかにバンドがプロモーションに飢えているかがよく分かる事例であり、私も非常に印象に残っています。

 

【論点4】…てことは、要はSSWおじさん問題?

このように、バンドにおいては写真撮影禁止というレギュレーションを設けている事例があまりありません。

 

では逆に、「写真撮影禁止」というレギュレーションを、失礼な言い方をすれば自分の活動実績に見合わない状況下で掲げている人は、果たしてどのような人なのでしょうか。

 

思うに、この「写真撮影禁止」を活動の初期フェーズから掲げている人は、女性SSWさんに圧倒的に多い…という印象を受けています。

 

ということは…やはりここで出てくるのは、「SSWおじさん」の問題。この記事でも、何度も問題提起をしている、アマチュア〜インディーズ業界の闇と言って良い論点です。

www.tk-guitar.com

 

SSWおじさんの特徴は、上記の記事においてしっかり整理しているので、詳しくはこちらをご覧いただければと思うのですが、SSWおじさんの特徴の中に、「周りの迷惑を顧みず、写真を撮りまくる」というものがあります。撮影の態度もさることながら、場合によっては盗撮に近いような写真を撮っている事例もあるなど、SSWおじさんと写真の問題は、本当に根深いものです。

 

要は、SSWおじさんに苦しめられている女性SSWさんが、やむにやまれぬ形でこの判断を下している可能性がある、ということなんだと思います。

 

もしそうだとすれば、アマチュア〜インディーズのミュージシャンであれば、写真撮影を許可し、積極的に発信してもらえるメリットの方が大きいにもかかわらず、一部のSSWおじさんが迷惑な写真の撮り方をしたりするなどのせいで、ライブの秩序を保全する観点から写真撮影をNGにせざるを得ない…

 

女性SSWさんの思考回路は、意識的にか無意識のうちにかは分かりませんが、このようになっているものと考えることができるでしょう。

 

とはいえ…「写真撮影NG」をSNSにくどくど書くと…普通の人は引きます

なお、写真撮影をNGにしている女性SSWさんの中には、「自分はなぜ写真撮影がNGか」について、メモのスクリーンショットを活用するなどして、だらだらと長文を書いている事例が散見されます。

 

本人はどうしてもそれを言いたいのかもしれませんが、残念ながらこれ、ファンではない一般のオーディエンスにとっては、はっきり言って「ドン引き」です。

 

新規ファン獲得のためには、どのような情報発信が有効で、そしてどのような情報発信をするとファン予備軍の人たちが離れていってしまうのか…。

 

このブログの本題からはそれますが、女性SSWさんの方々は、SSWおじさんに幻惑されて冷静な判断力をなくしているのかもしれませんが、ここは一つ、自分の言いたいことを感情に任せて一方的に言うのではなく、「最適なプロモーションは何か」という視点に立ちながら、冷静になって情報発信をすることを、強くオススメします。

 

今回の事例の場合、さらりと「写真撮影はご遠慮ください」だけでいいのです。(それでもなお、ファン予備軍に対しては若干マイナスの心証を与えますけどね)

 

写真撮影をNGにするなら、主催者側からアナウンスを

このように、普通に考えると、写真撮影はOKとするのが自然なところ、あえて写真撮影をNGにしている場合には、それなりに理由があるということ。

 

ところで、この写真撮影をNGにする件、たまにライブでミュージシャン本人がMCの中で言っている事例がありますが、あれは空気感もぶち壊しになりますし、写真撮影がNGの理由が明らかにウソくさい(そりゃあ「SSWおじさんに困ってるので」なんて言えないのも分かりますが…)ので、あれはちょっと酷かなあ…と、見ていていつも思います。

 

写真撮影のOK・NGについては、ミュージシャン本人にさせるのではなく、主催者サイドからアナウンスする方が、何かと無難なのではないでしょうか。

 

なお、最近はこのように女性SSWさんを中心に、写真撮影にナーバスになっている人が増えている現状がありますので、写真撮影がOKなミュージシャンの方がいらっしゃる場合においても、同様にその旨、合わせて主催者から告知してあげる方が、トラブルも未然に防げますし、観衆のフラストレーションの軽減に資するのではないかと思います。「撮っていいのかな…どうなのかな」と思っている人、結構多いようですので。

 

え、「写真より音楽に集中」?まあまあ、心配しなくても、本当に素晴らしいミュージシャンの演奏であれば、自然に写真よりも音楽に意識が行きますよ。

 

【まとめ】写真撮影NGに大きく影響するSSWおじさん問題…

このように、写真撮影を許可するメリット・デメリットを整理しながら、どのような局面で写真撮影のメリットが大きくなり、許可されるようになるのか、そして逆にNGになるのはどのようなときか…というのを整理していくと、やはりここでも見えてきてしまったのは、悲しいかな、SSWおじさんの問題

 

このブログでもこれまでから幾度も述べているように、SSWおじさんは、「貴重なお客さま」である一方で、その立ち振る舞いが迷惑であるがゆえに、女性SSWの皆さんを本当に悩ませている、まさに現在のアマチュア〜インディーズ音楽シーンの課題点を凝縮したかのような存在です。

 

一部のSSWおじさんのせいで、写真撮影とその写真を活用したバンド等のプロモーションに心理的ブレーキがかかってしまうのは大変残念ではありますが、悲しいかな、これが現実なのかもしれません。

 

そうした中、写真を有効に使っていきたいバンドやそのファンが気後れすることのないよう、主催者側が「OK」「NG」をしっかり明示して、出場者・観衆の双方が自分なりに楽しめるライブが増えてくれば、私としては大変に嬉しい限りです。