本日は、USA製フェンダーのアメリカン・パフォーマーシリーズから、プレシジョンベース(プレベ)を取り上げ、レビューしてみようと思います。
- お手頃なUSA製フェンダーのベースが欲しい
- PJタイプのベースを、フェンダーブランドで手にしたい
- ネックの細いプレベ系ベースを探している
- これまでにないタイプのプレベが欲しい
もくじ
そもそもアメリカン・パフォーマーシリーズとは?
このアメリカン・パフォーマーシリーズは、フェンダーUSAのラインナップの中ではもっとも価格帯の安いシリーズになります。
ラインナップとしては、ギターだとストラト、テレキャス、ジャズマスター、ムスタングがあり、そしてベースでは、今回紹介するプレベと、それとジャズベースがあります。
どのモデルであっても、価格はおおむね15万円前後。ですので、生産国にとらわれず「フェンダー」全体のラインナップでみると、概ね10万円前後くらいの日本製フェンダーよりも上位にある一方で、20万円前後くらいのアメリカン・プロフェッショナルシリーズよりは安い、といったところでしょうか。
これまでのラインナップでは、15万円前後の価格レンジに有力な商品がなかった一方、他メーカーではここをボリュームゾーンにしていたところもありましたので、フェンダーもようやくここに商品力の高い楽器を投入してきたな、という印象ですね。
ちなみに、フェンダーのラインナップを見てみると、
- 最初の楽器を手にした「Player」が、
- 練習を重ねて「Performer」に進化し、
- やがて「Professional」になる
という、ストーリー性にあふれたネーミングがなされています。このあたりのセンス、とても面白いですね。
アメリカン・パフォーマーのプレベはPJスタイル!
さてさて、そんなアメリカン・パフォーマーシリーズの中で、今回最初にプレシジョンベースを取り上げたのには、訳があります。
それは、このベースが、PJスタイルであること。
オーソドックスなスタイルに、ボディはアルダー、ネックはメイプルですので、このあたりはスタンダードなプレベを踏襲しているのかな、といったところですが、改めて写真をよく見ると、プレベのピックアップの下に、ジャズベースのピックアップがついていることが分かります。
そのため、リアのボリュームを0にすることで通常のプレベとして使うことが出来つつも、逆にリアのジャズベPUを鳴らすことで、高音の「ガリッ」とした成分を含ませることができ、ややもすれば「もこっ」としがちなプレベのサウンドに、エッジを立たせることができるようになるのです。

ピックアップはティム・ショウ監修の「YOSEMITE」
そして、これはプレベのみならず、アメリカン・パフォーマーシリーズ全般に言える特徴なのですが、この比較的買いやすい価格帯のモデルであっても、ピックアップ界の巨匠、ティム・ショウ氏が監修したPUがしっかり搭載されています。
アメリカン・パフォーマーシリーズに搭載されているPUのモデル名は「YOSEMITE」。比較的高出力で、モダンなサウンドが鳴るピックアップです。
Fender American Performer Precision Bass Review
このピックアップの特徴も踏まえると、やはりこのプレベは、伝統的なプレベとは一線を画したモデルであると理解するのが妥当なように感じます。
プレベとしては細いネックも扱いやすい
そして、このベース、位置づけとしてはプレベなわけですが、プレベのウィークポイントとして語られがちなのが「ネックの太さ」。
ところが、このアメリカン・パフォーマーの場合、ネックもジャズベと同様…とまではいかなくとも、一般的なプレベと比べるとかなり細めになっており、手の小さい方でも扱いやすい設計になっています。
このあたりも、昔ながらのプレベとは異なる設計思想を感じますね。
トーンの効き方にも一工夫!高音と同時に低音も調整される
そして、あまり目立つところではないのですが、このアメリカン・パフォーマーシリーズは、トーンの効き方にも一工夫が入っています。
通常、トーンノブというのは、単に高音を減衰させるだけなのですが、このシリーズについては、同時に低音も適宜減衰させるようなしくみとなっており、トーンを絞った時の音が非常に「音楽的」になっています。
特にプレベユーザーは、本体のトーンを触る人が非常に多いので、こういうところのこだわりは、大変興味深いところです。
【まとめ】一般的な「プレベ」ではない…だが、それが良い!
とまあ、このように、このアメリカン・パフォーマーシリーズのプレベについて、その特徴を概観してきましたが、
- 伝統的なプレベとは異なるPJスタイル
- 伝統的なプレベと異なる細めのネック
- 伝統的なプレベと異なるモダンなピックアップ
といったこのベースの特徴をとらえると、このベースは、一般的なプレベとしては見ない方が良いように思います。
むしろ、昔ながらのプレベに対し、さまざまな視点でアレンジを加え、プレベらしさを残しながら、サウンド面でもプレイアビリティの面でも現代的に進化した、「使い勝手の良い新しいベース」と解釈する方が、このベースの良さが伝わるのではないかと思います。
そして、そういった「新しいベース」を、フェンダーブランドで、15万円前後で買うことが出来る…このベースには、そういった点においても、価値があります。
従来型のプレベではないからこそ生み出すことができる、新たなサウンドと弾き心地…。
私は、このアメリカン・パフォーマーシリーズのプレベ、大好きです。ぜひ皆さんにも、このベースの素晴らしさを知ってほしいな、と思います。
そういったときは、楽器店の下取りに持ち込んでも良いのですが、やはり重たい楽器ともなると、持って行くのも少し面倒だったりするもの。
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