ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

【レビュー】Sadowsky SlapMaster スラップ派必見のヘヴィベース。

本日は、サドウスキーのベース、SlapMasterについてレビューさせていただこうと思います。

 

なお、SlapMasterについては、4弦ベースが「MV4」、5弦ベースが「MV5」となっていますが、当ブログでは、一括してこれらを説明させていただこうと思います。

 

高品質なサドウスキー

サドウスキーといえば、トラディショナルなジャズベースを基本としつつ、そこに随所の工夫を加え、モダンでハイファイなサウンドに仕上げた、ハイエンド系のベースに定評があるブランドです。

 

当ブログでは、過去に廉価版の「MetroLine Express」から、「MV4E」をご紹介させていただいています。廉価版ではあるのですが、全くそれを感じさせない高級感とハイクオリティなサウンドが、とても印象的です。 

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「スラップ特化」のベース?

そんなサドウスキーからリリースされているベース、その名も「SlapMaster」。

 

名前からして、いかにもスラップに向いていそうなベースです。スラップと相性のいいベースは、他メーカーでもたくさんありますが、ベースそれ自体の名称に「スラップ」を冠しているというのは、なかなかのインパクトであると言えるでしょう。

 

さて、どのあたりが「スラップマスター」なのか。ベースの特徴を見ていきましょう。

 

明らかに重いボディ、重めのOmega Bridge

まず、このベース、ボディ材はアッシュです。そうでなくても重い材として知られるアッシュですが、このスラップマスターでは、その中でもあえて、特に重いアッシュを厳選して採用しているとのこと。

 

重量感あるサムピングの音をしっかりと出すために、まずボディからして、しっかり「重い」ものにしてきた、という感じですね。

 

そして、このスラップマスターのもう1つ、大きな特徴とされているのが、Omega Bridgeの採用。こちらも、質量が大きく、そしてサステインの長さに定評がありまして、これもスラップサウンドをより際立たせるのに、大きく貢献してくれます。

 

なお、このベース、フレットは20までとなっています。サドウスキーの一般的なMVシリーズは21フレットまでありますので、この点も、小さなポイントかもしれませんが、スラップマスターの特徴であると言えるでしょう。

 

トーンコントロールを排除

そして、電装系の面でスラップマスターの大きな特徴と言えるのが、トーンコントロールをあえて排除していること。

 

トーンコントロールは、存在するだけでどうしてもハイ落ちの要因となってしまい、これがスラップの抜けの良い高音の良さを減衰さえてしまうのですが、このスラップマスターではそこを重く捉えて、このような形としたということです。

 

なお、本ベースは、プリアンプを内蔵したアクティブベースになっておりまして、コントロールとしては、「マスター」「前後のバランサー」「ベース・トレブルの各ブースト」の4つです。もちろん、パッシブ切り替えも可能です。

 

ピックアップは、サドウスキーの定番品、「Sadowsky Humcancelling J」を搭載しています。サドウスキーらしさを構成する、非常に大事な要素です。

 

試奏してみると…弾き心地もサウンドも「スラップ」向き!

さて、そんなスラップマスター、弾いてみると、どうでしょうか。

 


【サドウスキースラップマスター弾いてみた】Sadowsky Slap Master MV4【渋谷店】

 

まさにスラップが映える、低音と高音がどちらも派手に抜けてくる感じのサウンドが、とても印象的。

 

もともとアッシュボディのベースというのは、ボディ本体から鳴り響く低音がとても魅力的なわけなのですが、このスラップマスターについては、アッシュの中でも特に重いものが使われているため、その低音が特にパワフルに感じられること、そしてそれらがサドウスキーのハイクオリティなピックアップ・プリアンプを通じて、とても上質でハイファイなサウンドとなって表れてくるのです。

 

また、このベース、弦高が低くセットされており、またピックガードも厚めのものが用いられているため、弦と本体の間が狭くなっており、プルが非常にやりやすくなっています

 

その名のとおり、弾き心地もサウンド面も、まさにスラップを強く意識して作られていることが、試奏をしてみると、改めてとてもよく分かります。

 

弱点は価格…アトリエZのM#245と比較されるとつらい

さて、そんなSlapMasterなのですが、市場価格はおおむね30万円前後。サドウスキーのMetrolineシリーズの一般的なMV4・MV5が20万円台後半くらいなので、それの上位機種として考えると、まあ、このくらいの価格が妥当かな、という印象を受けます。

 

しかし、このスラップ向きのベースとしては、アトリエZのM#245がこれまでから圧倒的な存在感を放ってきていますが、こちらは概ね20万円台半ば…特価品が出ている場合は20万円前後になっていたりと、お買い得感で言えばサドウスキーのスラップマスターは不利になってしまいます。

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サドウスキーならではの、上質なハイファイサウンドは確かに魅力的ではあるのですが、たとえば単純にスラップ時のプレイアビリティだけに着目するのであれば、価格面で圧倒的な優位さを誇るアトリエZの方が、より魅力的に見える人もいるかもしれません。

 

また、スラップ特化、というわけではありませんが、扱いやすいジャズベース系だと、最近はフェンダーの最新作、American Ultraも注目を集めていますが、こちらも価格が27万円前後と、ハイエンドの中ではお値頃な価格設定になっています。

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ベースとしては個性的で、非常に魅力的な一本ではありますが、他メーカーがお値頃な価格帯でハイエンド系のベースを作り出してきている中にあって、この価格は正直「スラップマスターの唯一の弱点」として評価せざるを得ないでしょう。

 

【まとめ】サドウスキーらしさを持つスラップ向きベース。

このように、サドウスキーのSlapMasterについては、重いボディと電装面の工夫、そしてプレイアビリティ面の高さにより、スラップを中心にしたプレイを行うベーシストにとっては、非常に魅力的な一本であることが分かりました。

 

ただし一方で、価格面が30万円前後と、比較的高めにセットされており、それゆえにアトリエZのM#245や、フェンダーのAmerican Ultraなどのライバル商品と比較されると、単純な価格競争だけでは不利な局面にあるのも、また事実。

 

とはいえ、サドウスキーらしさをこよなく愛する人にとっては、サドウスキーらしさをスラップ方面に振り切ったこのベースは、唯一無二の個性を持つ一本として、とても魅力的に見えることでしょう。

 

価格は少し高いですが、とても面白いベースであることは、間違いありません。ぜひ一度、使ってみていただければと思います。