ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

【レビュー】BOSS DD-3T 古いデジタルならではの味わいを、そのままに。

本日は、BOSSのコンパクトエフェクター、デジタルディレイDD-3Tについてレビューさせていただこうと思います。

 

どんどんモデルチェンジが進む中、あえて「3」でとどまったBOSSの「もう一つのデジタルディレイ」。その魅力と味わい、しっかり見ていくことにいたしましょう。

 

 

まずは超ロングセラー・DD-3のお話

このBOSSのデジタルディレイ、DD-3Tについて語る前に、まずはBOSSの超ロングセラー、DD-3のお話を。

 

BOSSのDD-3は、1986年に、当時としては珍しく、また高額だったデジタルディレイにおいて、比較的低廉な価格でリリースされました。

 

その後、BOSSのデジタルディレイは、DD-5、DD-6、DD-7、さらには現行のDD-8へと、機能と音質面を強化しながらアップデートし続けているわけですが、この古いDD-3は、廃盤になることなく、2019年まで継続販売されました。

 

その理由は推測でしかないのですが、大きくは

  1. 古いデジタルエフェクターの「味」を好むユーザーが一定程度いること
  2. 後継機種の操作性が複雑になる中、比較的シンプルに扱えるDD-3に一定のニーズがあったこと

あたりが想定されるところです。

 

味のあるDD-3のサウンド

では、そのDD-3のサウンドは…というお話なのですが、1986年にリリースされたDD-3は、当時としては画期的なデジタルディレイではありましたが、とはいえその当時の技術力なので、ディレイ音は原音から完全にデジタルコピーされたものではなく、ある程度の劣化が見られたものでした。

 

これだけ聞くと、何やらネガティブな印象を受けてしまいますが、一方でよく考えてみると、そうした古い技術特有の「劣化」というものは、ある意味において「であり、思えばアナログのエフェクターは、そうしたところがむしろ評価されている面もあるわけです。

 

このDD-3も、その後デジタルディレイの音質が「高品質」になっていく一方で、あえて少し劣化したこのディレイサウンドを「味」と評価する人もいたんですね。


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シンプルで分かりやすいDD-3の使い勝手

そして、後継機がどんどん操作性が複雑になっていく一方で、このDD-3は、

  • おおまかなディレイタイムを決める「MODE」つまみ
  • 細かなディレイタイムを決める「D.TIME」つまみ
  • ディレイ音の返り具合を決める「FEEDBACK」つまみ
  • マスターボリュームを決める「E.LEVEL」つまみ

と、非常にシンプルで分かりやすい設計になっていました。

 

複雑なエフェクターを自在に操ることに喜びを見出す人もたくさんいますが、一方で機材はできるだけシンプルで分かりやすく…という嗜好の人もたくさんいて、そういった人にとっては、まさにこのDD-3がピッタリきたわけなんですね。

 

なお、「MODE」の中には、「HOLD」というモードがありますが、これは今風に言えば「ルーパー機能」です。ディレイタイム800msの中でしか使えないので、本格的なルーパーとして使うことは難しいですが、それでも現在多くの人がさまざまなマルチエフェクター等で愛用しているこの機能を、1980年代に既に搭載してきたBOSSの先見の明には、本当に恐れ入ります。

 

DD-3にタップテンポ機能を追加した「正統派後継機種」

そして、2019年に、DD-5以降のモデルとは異なる、DD-3をそのままアップデートする形でリリースされたのが、このDD-3T。

 

DD-3Tは、基本的な思想…つまり、どこか味わいのあるサウンドと、シンプルな操作性というDD-3の良さは、そのまま引き継いでいます。ですので、DD-3の方向性を気に入っておられる方は、この後継機をそのまま使うことができますね。

 

その上で、DD-3Tになって何が変わったかというと、大きくは「タップテンポ機能の追加」です。

 

これは、ペダルを2秒間踏み続けると、タップテンポモードがオンになり、この状態でペダルをタップすることでディレイタイムが設定できるというもの。なお、外部コントロールペダルを別途つなぐことでも同様の設定は可能です。

 

なお、このとき「MODE」スイッチは、ディレイの返り方を調整する役割に変わります。800ms にしてると4分音符、200ms にしてると付点8分、50ms にしてると2拍3連符、といった具合ですね。

 

このほか、ダイレクトアウト端子の左側への移動や、先述の「HOLD」モードの「SHORT LOOP」への改名など、細かな改善も見られます。

 


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価格は17,000円程度…多機能なDD-8と迷う?

さて、そんな「シンプルで味のあるデジタルディレイ」、DD-3Tですが、市場価格は17,000円程度です。

 

これだけで見ると「まあ、BOSSの空間系としては妥当かな」と思うのですが、一つだけ判断を悩ましくするのは、同じBOSSの多機能デジタルディレイ・DD-8が19,000円程度と、あまり価格が変わらないこと。

 

もちろん、「このシンプルさや味にお金を払う」というふうに考えられれば気にはならないのですが、「より多機能なエフェクターがほぼ同じ価格」となると、ちょっと迷う人が出るような気はしますね。

 

【まとめ】古いデジタルディレイの味わいを求めるあなたへ。

このように、このBOSS DD-3Tは、古いデジタルディレイの味わいが多くの人に愛されたDD-3を、あえて細かなアップデートにとどめて、引き続き市場に残してくれた一品と言うことができそうです。

 

現在の多機能なデジタルディレイや、マルチエフェクターなどの高品質な空間系も、もちろん悪くないのですが、あえて「味」を求める人、あるいは操作性のシンプルさを求める人が今なおたくさんいることは、DD-3が長きにわたって多くの人に支持されていたことが証明しています。

 

そんなDD-3を、本当の意味で正統進化させた、DD-3T。古いデジタルディレイの味を、一緒に楽しみましょう。