ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

内輪ノリのライブに「お客さまファースト視点」を取り入れる3つの取組

このブログでは、これまで幾度か、「仲間うちだけのライブ」「内輪ノリのイベント」に対して、警鐘を鳴らしてきました。

 

今回のブログでは、そうした「内輪ノリのライブ」に課題意識を感じてくれている主催者・ミュージシャンの方が、どのようにすれば内輪ノリのライブを外部に開放し、「お客さまファースト」の視点で運営できるかについて、考察したいと思います。

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内輪ノリのライブに関する論点をおさらい

まずは、当ブログで過去に掲載した「内輪ノリのライブ」に関する記事についておさらいしながら、本件に関する論点を再整理していきましょう。

 

仲間うちのイベントが抱える問題点

まず、最初の記事です。

www.tk-guitar.com

 上記の記事では、仲間うちだけで企画・開催するイベントについて、

  • 「一見さん」が入りにくく、疎外感を覚える
  • 出場バンド・ミュージシャンが固定化する
  • やがて来場者も固定化する

といった3つの問題点を指摘し、この結果、イベントが「単なる仲間うちだけのパーティー」に成り下がり、チケット代を得て運営するに値しないイベントになる旨、論じました。

 

内輪ノリのライブがなくならない理由

そして、次の記事がこちら。

www.tk-guitar.com

 

この記事では、なぜ、このような「内輪ノリのイベント」が発生するかについて、考察しています。具体的には、

  • 単純に楽しい
  • 既存の強固なコミュニティがベースになっている
    (ライブバー・飲食店の経営者と常連客、学校の軽音学部、自治会等の地域コミュニティ)
  • 出場者との調整がやりやすい
  • 来場者の見通しを持ちやすい

といった4点を「理由」と整理し、これらの理由に基づいて運営されるイベントは「お客さまファースト」の視点が欠落してしまう旨、指摘させていただきました。

 

内輪ノリのライブを「外部に開く」ために必要な取組

このように、内輪ノリのライブというのは、ラクだし楽しいし…ということで、つい自然と開催してしまいそうになります。

 

一方で、デメリットや問題点も非常に大きく、特にうっかり外部の人が来て、疎外感を覚えて帰ってしまい、それをSNS等で発信されてしまったときのダメージは、想像以上に甚大です。

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ですので、ライブ・イベントを企画するときは、できるだけ「内輪ノリ」の要素を除却した上で運営することが必要です。では、どうすればいいのでしょうか。

 

【取組1】仲間うちの出場者は1/2以内に抑える

まず、これはぜひ意識していただきたいのですが、出場者同士が強い絆で結ばれているような、いわゆる「仲間うちの出場者」については、必ず1/2以内に抑えてください。逆に言うと、「出場者のうち1/2以上は、外部から招くようにする」ということです。

 

外部の目が入ると、当然、外部の出場者は内輪ノリの姿勢に冷ややかな、批判的な視線を送ることになりますので、そうした視点に配慮しながら運営することで、内輪ノリのイベントが抱える問題点を、完全にとは言わないまでも、ある程度軽減することが可能です。

 

なお、ここに言う「仲間うちの出場者」というのは、前述の「既存の強固なコミュニティがベースになっている」ような出場者のことです。単に対バンで会う程度の音楽仲間であれば、「内輪ノリ」の問題点が露呈することは、通常あまりありません。

 

【取組2】既存コミュニティのつながりを緩める

先ほど取り上げた、ライブバー・飲食店等をベースにした既存の音楽コミュニティ、属していると大変楽しく、心地よいことでしょう。それは、すごくよく分かります。

 

ただ、そのコミュニティでの活動があまりにコミュニティ限定になっていたりすると、部外者にとっては、どんどん近寄り難いものになっていきます。

 

特に、次のような活動を行っている場合、既存コミュニティの強さは、新たな客を締め出す要素として機能してしまいます(なお、これらの詳細は、別記事を立てて、改めて考察したいと思います)

  • 既存コミュニティで連れ立って遠方のライブに遠征する
  • 既存コミュニティの構成員で対バンしているライブが異様に多い
  • 仲間うちの音楽について、歯が浮くような「絶賛」の会話をし合っている
  • 仲間うちでのTwitterの会話を、リツイートで拡散する
  • 拠点のライブバー・飲食店等に集まっている様子が日常的にSNSで共有されている

これらを「問題点」だと指摘されることは、きっと既存コミュニティで暮らしている方にとっては心外なことでしょう。

 

でも、これが「心外」だというのは、それこそそのコミュニティが「外部の人を入れたくない」…すなわち、「身内だけで固まっていたい」という思いを強く持っていることの、何よりの証左でもあります。

 

それがダメなことだとは言いませんが、少なくとも、そのようなコミュニティは、外部の人を招いて、チケット収入を得るようなイベントは開催すべきではないと考えます。

 

もし外部の人を自分たちのイベントに招きたいというのであれば、外部の人が入れるような「すきま」を作るために、自らの絆を少し緩めて、場所を作ってあげることが重要です。

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【取組3】仲間うちだけのMC、グッズ販売は控える

仲間うちだけのイベントでよく見られる光景が、「仲間うちの関係性だからこそできるヤジと、それに呼応するMC」

 

これ、部外者の立場でライブを見ていると、本当に心の底から冷めます。

 

 

そもそも、こうした状況にならないように、【取組1】【取組2】があるわけなのですが、これらは短期間でただちに着手できるものでもないと思いますので、まずは目の前にある内輪ノリのライブで、いかに「内輪ノリ」感を消すかという視点で考えたときに、最初にできるのが、こういう「内輪ノリのMCをやめることかなあ、と思います。

 

また、同様に、仲間うちだけでしか通用しないようなグッズを製作し、販売するのもNGです。この手のグッズは、得てして「コミュニティに属している旨の証明書」として機能しがち。そのようなものが販売されているという事実だけで、部外者がライブの心証を悪くするには十分な威力があります。

 

【まとめ】耳の痛い話ですが…ライブを外部に開くために必要な視点

このように、内輪ノリのライブについては、さまざまな要素の中で開催されますが、仲間うちの結束を強くする効果を持つ一方で、音楽が好きで集まった一見さんの心証を強烈に損ねます

 

この状況は、「音楽」という大きなくくりでのコミュニティを弱らせることにもつながってしまう、非常に罪深いものです。

 

自分たちだけのコミュニティを強くせんがために、「音楽」というコミュニティを脆弱化させてしまうことは、絶対に避けなければなりません。

 

おそらく、内輪ノリのライブを楽しんでいる皆さんも、「音楽が好き」という点においては、異論がないと思います。

 

だからこそ、音楽好きが広く集まって、音楽を楽しめるようなイベントをたくさん増やしていけるように、どうかイベントの企画者・主催者の皆さまには、これらの「耳が痛い話」にも真摯に向き合っていただき、多くのお客さまが、「ライブって、楽しい!」と思ってもらえるようなイベントをたくさん開催していただきたい…。

 

私は一人の音楽好きとして、それを、願ってやまないのです。