ギタリスト・かとうたかしの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

路上ライブは違法行為です!なら、どうすればいい…?

本日は、ちょっとしたコラムです。

 

Twitterなどで活動するアマチュアミュージシャンの投稿でよく見るものに、

 

今から路上ライブします

 

とつぶやいた数十分後に、

 

警察が来たので止められました…

 

というものがあります。

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よく見る光景なのですが、なぜこういうやりとりが起こるのか、という点について、法律目線とミュージシャン目線との両方から考えることって、あまりないと思うので、少し考えてみました。

 

合わせて、「私たちがライブをすべき場所はどこなのか」というところについても、考えてみたいと思います。


 

 

 

なぜ路上ライブは止められる?

まずそもそも、なぜ路上ライブは止められるのか。

 

言うまでもありませんが、警察がその権力を介入して市民の活動を止めるというからには、それなりに法律の根拠が必要となります。

 

ここで使われる条文は、おそらく道路交通法でしょう。

 

(道路の使用の許可)

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。

一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人

二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者

三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者

四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

 

この、赤字で示したところでしょうね。

 

ただ、ここで、法律は「公安委員会が…」と、具体的な判断基準を都道府県の公安委員会に委ねるような書き方をしています。

 

ということなので、もう少し調べてみましょう。たとえば、大阪府の道路交通規則を見てみます。

 

(道路の使用の許可)

第15条 法第77条第1項第4号の規定により署長の許可を受けなければならないものとして定める行為は、次の各号に掲げるもの(公職選挙法の規定に基づきすることができる選挙運動のためにするもの及び選挙運動期間中における政治活動として行うものを除く。)とする。

(1) 道路に、みこし、山車、だんじり、太鼓台等を出し、又はこれらを移動すること。

(2) 道路において、ロケーション、撮影会、街頭録音会又は踊りをすること。

(3) 道路において、集団行進(学生生徒等の遠足、修学旅行の隊列又は通学、冠婚葬祭等による行列を除く。)、競技、仮装行列、パレードその他の催物をすること。

(4) 道路に人が集まるような方法で、演説、演芸、奏楽、映写、ロケーション等をし、又は拡声器、ラジオ、テレビジョン等の放送をすること。

(5) 道路において、消防、避難、救護等の訓練を行なうこと。

(6) 道路において、旗、のぼり、看板その他これに類する物を持ち、又は数人で楽器を鳴らし、若しくは特異な装いをして、広告若しくは宣伝をすること。

(7) 広告又は宣伝のため車両等に著しく人目を引くような特異な装飾その他の装いをして通行し、若しくは人が集まるような方法で車両等に備えた拡声器を用いて通行しながら広告又は宣伝をすること。

(8) 道路において、人が集まるような方法で寄付を募集し、若しくは署名を求めること。

(9) 交通の頻繁な道路に広告、宣伝等の印刷物その他の物をまき、又は交通の頻繁な道路において通行する者にこれを交付すること。

(10) 道路において、次に掲げる実証実験をすること。

ア ロボットの移動を伴う実証実験

イ 搭乗型移動支援ロボットの実証実験

ウ 自動車から遠隔に存在する運転者が電気通信技術を利用して当該自動車の運転操作を行うことができる自動運転技術を用いて自動車を走行させる実証実験

  

これを見るに、規則第15条第1項第4号、「道路に人が集まるような方法で、演説、演芸、奏楽、映写、ロケーション等」に該当するということなのでしょうね。

 

ちなみに、兵庫県においては、「兵庫県道路交通法市施行細則」というものがあり、ここでほぼ同様の規定があります。おそらく、各都道府県、概ね同様の規則があるのでしょう。

 

これらをきわめてざっくりとまとめると、「法律及び都道府県の規則により、警察の許可なく道路で演奏をやっちゃダメ」ということになります。

 

だから、路上ライブをやっている人は、多くの場合、警察に止められてしまうわけですね。

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ちなみに、道路交通法において、法第77条第1項の違反については、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」というふうに規定されています(法第109条)。実態としては、「そこまでしなくていいだろう」ということで、警察によって「止める」まででコトを済ませる運用になっているのだろうと推察されるところです。

 

許可があれば路上ライブはOK?

ところで、この話「許可なくやったらダメ」ということになるのですが、では許可をとったらどうなるかというと、そのときはもちろん路上ライブOKということになります

 

ただ…アマチュアミュージシャンのために、警察が許可を出してくれるかというと、そこは現実的に結構難しいのではないかという印象があります。

 

というのも、そもそも法律で「原則禁止」というふうにしているのは、「道路は本来的には往来の場所」であり、その邪魔になるからだ、という理論構築になっているためでしょう。

 

したがって、警察が許可を出すためには、「その原則を超えてまで許可しなければならない何か」が必要になります。

 

で、それが「アマチュアミュージシャンの路上ライブ」でそれを超えられるかというと…正直、結構難しい気がします。

 

じゃあ、どこでライブをすればいい?

ここまでの議論を、きわめてドライに整理すると、

  • 無許可の路上ライブは道路交通法違反なのでやらない方がいい
  • 許可を得ることは現実的にはなかなか難しいと思料される
  • そんな中、無理してライブをやると、刑事罰を科されるおそれもある

ということになります。

 

ちなみに、公共の場所である道路はこのような整理になりますが、民有地である場所…たとえば駅舎とかでライブを実施すると、今度は「不法占拠」みたいな話が出て来るので、どっちにしてもダメ、ということになりますね。

 

ですので、私は個人的には「今から路上ライブをやります!見に来てね」みたいな類いのツイートというのは、実は、非常に危ないのではないかと思うのです。だって、その気になれば、警察がTwitterで「路上ライブ」を検索してヒットしたところを取り締まりに行けてしまうわけですものね。

 

ただ、この話は、「そういうことなので、気をつけてね」で終わらせる話ではないと、個人的には思っています。

 

この議論を踏まえた上で議論しないといけないのは「じゃあ、どこでライブすればいいのよ?」という話。

 

もちろん、ライブハウスやライブバーみたいなところで演奏していくこともできるのですが、少しでも多くの人に音楽を聴いてもらいたいというときに、これらだけでは物足りないと思うのも事実。

 

そういう人にお勧めなのが、「地域の音楽イベント」。

 

最近、地域の活性化のために、行政やまちづくり団体などが音楽イベントを開いているケースが多々あります。関西の有名どころでは、神戸の「新開地音楽祭」などがありますね。

 

このようなイベントであれば、イベントの許可などは主催者側がしっかりとってくれているので、仮に路上にステージが設定されていたとしても、出場者側は大船に乗った気分でライブを行うことができます。

  

また、関西ではあまり聞きませんが、関東の方では、ストリートミュージシャン向けに特別な場所を提供しているところもあります。「音楽のまち」を名乗る川崎市は、特に有名ですね。

 

まとめ…ライブはルールを守って楽しもう 

路上ライブ…まともにやると、違法です

 

でも、その法律は、別にミュージシャンの卵たちに意地悪をするために作られたものではありません

 

道路はあくまで、人々の往来のために、住民の税金を投じて作ったもの。いろんな人が、いろんな思いを持ちながら、その道を通って、日々を生きています。

 

「そんな人に、音楽を届けたい」という思いをミュージシャンの皆さんは持つかもしれませんが、世の中には、静かに過ごしたい人たちだってたくさんいるわけで、そういう人たちの前では、たとえどんなにいい音楽であったとしても、それは騒音にしか聞こえません

 

厳しいですが、これが現実です。

 

路上ライブが取り締まられるのは、「法律がそうなっているから」というのもありますが、そもそもそれ以前に、「道路でライブをすると、道行く人の邪魔になるから」というところに思いを馳せる必要があると思います。

 

でも、だからこそ、演奏する人も聞く人も、心の底から音楽を楽しめるような場所が必要である、というのも、同時に思っています。

 

先ほど示した地域の音楽イベントのように、多くの人の前でライブをする機会・場所は、きちんと探せば、ちゃんとあります。

 

そして、そのようなところでの演奏は、きっと周りの人たちを、心の底から笑顔にできるはず。私は、そう思っています。

 

 

ミュージシャン一人一人のモラル・マナーが、音楽に取り組む人々のイメージを作り上げます

 

どうか皆さん、ミュージシャンのマナーアップに、ご協力いただければ、嬉しいです。