ギタリスト・かとうたかこの音楽ブログ

楽器レビューのほか、音楽をテーマにブログを書いています。

「SSWおじさん問題」と「仲間うちライブ問題」に共通する課題は何か?

当ブログでは、定期的に「SSWおじさん」問題や、「仲間うちライブ」問題について、コラムを書き、その課題を明らかにした上で、問題提起を行ってきています。

 

本日は、これらについて向き合う中で見えてきた、これら両者の問題に共通する課題について考察しようと思います。

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SSWおじさん問題

では、まず、SSWおじさん問題について。

 

SSWおじさんとは、要は「女性SSWの追っかけをしている中年男性」のこと。表だってはあまり議論されていませんが、バンドよりもSSWが主流になりつつある昨今、特に目立つようになってきています。

 

なお、SSWおじさんの問題については、過去にしっかりと整理した記事があるので、ここではおさらい程度にとどめます。

 

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では、まず、SSWおじさんに関する問題点を、さらっと整理しましょう。

 

【問題点1】女性SSWさんにとって、シンプルに不快

これはもう、ただただシンプルな話なのですが、一般論として、中年男性にからまれていい気分の女性というのは、あまりいません

 

もちろん、雰囲気が素敵だったり、紳士的な態度でSSWさんに接することができる方であれば問題ないのでしょう。

 

しかしながら、ここに言う「SSWおじさん」の場合、多くは上から目線だったり、SSWさんを独占しようとしたり、SNS上で執拗に絡み続けたりといった行動を取ることが多く、そうした行動が目立つがゆえに「SSWおじさん」の蔑称とともにこうした男性が非難を浴びるような構図になっているのが現状です。

 

【問題点2】「お客さま」であるがゆえに邪険に扱えない

このように、ただただ、シンプルに不快なSSWおじさんですが、このSSWおじさんは、不快な存在であると同時に、ライブに足繁く通ってくれたり、CD等の物販を積極的に購入してくれる「貴重なお客さま」としての一面を同時に持ち合わせています。

 

ですので、SSWさんにとっては、あまり邪険に扱えないという事情があります。

 

そして、その事情を見透かした上で「オラオラ、俺は上得意様だぞ~」みたいな感じで接しているSSWおじさんもいたりします…。

 

なんとも、悲しい話です。

 

【問題点3】他のお客さまが近寄りづらくなっている

 SSWおじさんに絡まれて続けている女性SSWさんの姿は、他のお客さんの目から見ると、「熱心なファンがついている状態」にも見えます。

 

この状況は、初見のお客さまにとっては非常に近寄りづらいもの。

 

ですので、SSWおじさんがずっとつきまとっている状態というのは、実は中長期的な目で見ると、「新たなファン獲得の障壁になっている」ということができるのです。

 

もう少し幅広いお客さまと接することができれば、より多くのファンを獲得できるのに、SSWおじさんのつきまといのせいで、ファン層が広がらず、結果的に少数の固定化されたファンしか獲得することが出来ず、SSW活動が持続可能なものにならない…。

 

これが、SSWおじさん問題の一番重要な問題ではないかと、個人的には感じています。

 

 

仲間うちライブ問題

続いて、仲間うちライブ問題について。こちらも、過去にいくつか、これらの問題点を整理した記事がありますので、同様におさらいにとどめます。

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では、簡単に問題点を…。

 

【問題点1】「一見さん」が入りにくく、疎外感を覚える

身内だけで固められた実行委員で企画された音楽イベントというのは、その「身内」の「外」にいる者にとっては、相当に近寄りづらいものです。

 

せっかく勇気を振り絞って会場に入っても、中では既に出来上がっている人間関係の中で、身内の皆さんが楽しそうに入っていて、自分の入り込むスキマが全くない…。

 

こうした状況で、一見さんのお客さんが最初に強く感じるのは「疎外感」しかありません。

 

身内だけで盛り上がりつつ、外部の人が疎外感を感じて、寂しそうに帰って行くイベントは、一般的には「失敗」と断じられてしかるべきものだと考えます。

 

【問題点2】出場者が固定化する

この手の「仲間うち」イベントというのは、得てして企画者たる実行委員たちも、出場者としてステージに上がりがち。

 

これらの「仲間」は、まさに「類は友を呼ぶ」で、同じような音楽を指向する面々で構成されがちなので、自ずと音楽の方向性も類似してきます。

 

そして、そんなメンバーが集まっていると、仲間うちは当然やりやすく、また心地よいので、気がつけばその状態でズルズルと同じようなイベントを続けてしまいます。

 

そして、そうしたイベントに「自分も出たい」と思っても、仲間うちで出場者が固定化されてしまっている中、そこに割って入ることは非常に困難。外形上、出場者の公募がなされているように見えても、実態は公募など形だけで、仲間うちだけで出場者枠が固められてしまっているというのは、よくある話です。

 

こうして、気がつけば「同じような実行委員による、同じようなメンバーの、同じような音楽イベント」が毎年実施されてしまうのです。

 

【問題点3】お客さまも固定化し、ただの「身内のパーティー」に成り下がる

このように、実行委員も身内、出場者も身内になってしまうような音楽イベントは、「音楽イベント」とか「ライブ」とか「フェス」とか呼べるような代物ではありません。

 

こんなのは、はっきり言って、単なる「身内のパーティー」でしかないのです。

 

こうした身内のパーティーは、身内限りでやっているのであれば、何の問題もないのですが、どういうつもりか、この手のイベントをSNS等で外部に広く発信し、来場者を募集しているパターンが多々見られます。

 

それを見て、何も知らずにライブに行ってみたら、中は単なる「身内のパーティー」だった… 。

 

ちなみにこれ、実は、私も、何度か経験があります。

 

「みんなでつくる音楽イベント」を謳って集客をしておきながら、実態はあまりにも露骨な「身内のパーティー」で、「チケット代返せ」と叫びたくなるようなものだった…。

 

こういうものについては、イベント名ごと明らかにして問題意識を具体的に共有したい思いもありますが、結果として個別具体の案件への「攻撃」になってしまうことは私の意図するところではないので、ここではそれは控えようと思います。

 

共通する課題は「一見さんが近寄れない」

ここまで、SSWおじさん問題と仲間うちライブ問題の2つについて、過去の議論に基づき、問題点を整理してきました。

 

これら2つには、共通する論点があります。それは「一見さんが近寄れない」ということ。

 

女性SSWさんにしつこくつきまとい、初めてのお客さんとSSWさんの接点を奪うSSWおじさん。

 

身内だけで関係性が完結する音楽イベントに集客しておきながら、一見さんとの接点を一切作り出さず、身内だけで盛り上がって疎外感を味わわせる仲間うち限定ライブ。

 

これらは、どちらも「一見さん」が音楽を好きになる機会を奪ってしまっているという点において、共通しているのです。

 

音楽を広げる新たな起点が潰される…

一見さんというのは、これまで自分たちの活動にまったく接点がなかったにもかかわらず、ふとしたきっかけで自分たちの活動を目にしてくれた、新たなお客さまです。

 

こうしたお客さまの心をつかみ、自分たちの活動のファンになってもらうことができれば、そこをきっかけに、自分たちの活動に新たな可能性が広がることもあります。

 

一見さんのお客さまの中には、強力な発信力を持っている人や、豊富な人的ネットワークを通じて、自分たちの活動をさらに広げてくれる人だって、きっといるはず。

 

にもかかわらず、SSWおじさんのせいで、そうした活動の広がりのきっかけが遮断され、あるいは仲間うち限定ライブで疎外感を味わわせてしまうと、そうした「音楽の広がりの新たな起点」が、完膚なきまでに叩き潰されてしまうのです。

 

【まとめ】短期的ではなく、長期的な視点で課題と向き合おう

このように、本稿では、SSWおじさん問題と仲間うちライブ問題の共通点として「一見さん」が近寄れないことを整理させていただきました。

 

SSWおじさんにせよ、仲間うちライブにせよ、短期的には活動に充実感が得られるかもしれませんが、それと引き換えに、一見さんという「新たな起点」を失い、中長期的な活動の発展要素を自ら破壊してしまっている…。

 

これは、大変に残念なことだと思います。

 

SSWおじさんにせよ、仲間うちライブにせよ、ただちに「止める」ことは難しいかもしれません。特にSSWおじさんの問題については、演者側に責任を問うのが酷な側面も強く、これが事態を複雑化させている印象もあります。

 

ただ、まずはこれらに課題意識を持ち、タブー化することなく、しっかり議論する。身近な音楽の、そしてミュージシャンの発展のためには、これが何より必要なんだと、私は思っています。